電気自動車(EV)普及のカギは普通充電設備の増加

脱炭素社会の実現への機運が高まる中、世界中で電気自動車(EV)の普及が進み始めています。日本でも、電力がなくなる「電欠」を心配せずに運転できるよう、EV充電スポットも拡充されています。道の駅やサービスエリアで設置されている急速充電器は短時間で充電できる利便性がありますが、1台数百万円以上と高価です。このため、充電時間は掛かるものの、設置費用が安価な普通充電スポットが増えるかどうかが、電気自動車(EV)普及のカギを握っていると言われています。

電気自動車(EV)の充電は、普通充電と急速充電に分かれます。両者の違いは充電出力の大きさです。また、利用者が特定されているプライベート充電と利用者が不特定のパブリック充電の2種類があります。

プライベート充電は低コストで設置可能な普通充電が主流

プライベート充電は、普通充電器を使っているケースがほとんどで、急速充電はごく限定的です。主な設置場所としては、戸建て住宅、マンション、ビル、屋外の月極駐車場などがあります。

普通充電の充電時間は100Vのコンセントで約14時間、航続距離は160kmです。また、200Vのコンセントで約7時間、航続距離は160kmです。

パブリック充電には短時間で充電可能な急速充電

パブリック充電は、公共の場に設置され利用料を支払えば誰でも使えます。多くは短時間で充電が可能な急速充電器を設置していますが、充電に際しては時間制限があり、最長30分が基本です。主な設置場所は、道の駅、高速道路のサービスエリア、カーディーラー、商業施設などです。

急速充電器は、交流電圧を直流変換することで車両に大電力を供給する仕組みになっており、普通充電器の10倍を超える速さで充電することも可能です。滞在時間が短く利用人数が多い施設では急速充電器が多く採用されています。バッテリー残量がほとんど無いような緊急時の場合など、業務用で車両を頻繁に利用する場合には、5分間で40km走行できる充電ができる能力を備えています。一般的には約15分で航続距離80km、約30分で航続距離約160kmを充電しますが、急速充電設備の本体価格は数百万円以上かかります。

パブリック充電の急速充電器の場合、50kwや80kwなどの出力を備えていても、実際には20kw程度に出力を調整しているケースが多いとされています。パブリック充電は、電気使用量ではなく時間単位での料金体系のため、それぞれの充電スポットによる充電量を一定にするためです。

政府が2035年新車販売の100%電動化を目標に

政府は「2035年までに乗用車の新車販売で電動車100%」という目標を掲げています。脱炭素化を加速させるために、カギである電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHV)などのさらなる普及が重要であるとの認識で、2030年には。電動車の販売比率を20~30%までに引き上げるという目標も示されています。

電気自動車(EV)は導入初期段階にあり、車両のコスト低減や充電インフラの整備などが課題となっています。2021年度末で、普通充電スタンド基は約21,000基、急速充電スタンド基は約8,000基、計約30,000基です。政府はこれを2030年までに150,000基に増やすため、充電器の設置に対する補助金などを通じて後押しし、充電インフラの整備を進めています。

■充電インフラ補助金
充電設備導入の皆様向けパンフレット
マンション等向けチラシ

カギを握るのは普通充電設備の普及

電気自動車(EV)をより普及させるためには急速充電器を増やすことが重要と言われていましたが、導入コストが数百万円かかる一方で、EV普及率が低いために収入が少なく、ランニングコストだけで赤字になり、導入コストを回収できないような状況です。急速充電器を設置している企業は、「地域社会への貢献策」や「集客や宣伝のためのサービス」などと位置付けているケースが大半とのことです。

このような現状を考慮すると、充電インフラ整備のカギを握るのは、滞在時間の長い宿泊施設や商業施設、マンションなどでの普通充電設備の普及です。普通充電設備は比較的安価で、数百万円以上する急速充電設備と比べて導入コストを安く抑えることができます。また電気代はガソリンよりも安価で、家計の節約にもつながるため、あと数年で電気自動車(EV)の新車購入者が一気に増える可能性も指摘されています。
ビジネスチャンスと捉え、普通充電設備の普及を推進する事業者も出てきました。


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