日本政府は「2035年までに乗用車の新車販売の100%を電動車に」という目標を掲げており、電気自動車(EV車)やプラグインハイブリッド車(PHV車)などの電動車が大幅に増えてくることが予想されています。それに対応し、充電のためのインフラ設備の設置がさらに急ピッチで進む見通しで、設置工事費用についても、補助金やキャンペーンなどで後押しする取り組みが期待されています。

「普通充電」も「急速充電」も…充電設備の設置進む

EV充電設備は大きく「普通充電設備」と「急速充電設備」のふたつに分かれています。「普通充電設備」は単相交流100Vコンセントや200Vコンセントを使用します。走行距離については、車種や充電設備によって多少違いますが、平均的には100Vでは1時間で約10km程度走行可能で、200Vでは30分で約10km程度走行できます。

普通充電器は、一般的な戸建住宅やマンション、商業ビル、屋外駐車場などに設置することが可能なほか、屋外駐車場向けとしてポール型普通充電器(200V)も用意されています。ポール型普通充電器にはコンセント型と、ケーブル付きタイプの2種類があります。

一方、「急速充電設備」は3相200Vの電源を使用しています。大容量タイプでは15分から30分程度で約80%まで充電することができます。中容量タイプでは30分~1時間程度です。急速充電は、業務用で車両を頻繁に利用する場合の充電や、目的地やその経路での充電を想定しています。道の駅や充電スタンド(ガソリンスタンド)、高速道路のサービスエリア、カーディーラー、商業施設などへの設置が進められています。

一般的な工事費用は数万円から数十万円程度

充電設備の価格は、普通充電器のコンセント型で数千円、普通充電器のポール型で数十万円、急速充電器で100万円以上です。これらの価格は本体価格のみで、工事費用が別途かかります。工事費用はケース・バイ・ケースです。例えば、戸建て住宅の場合は価格の安い普通充電器を設置するケースが多いですが、工事費用は充電器を取り付ける場所や購入するコンセントによって費用に幅が出てきます。一般的な工事で数万円から十数万円程度と言われていますが、補助制度やキャンペーンなどが利用できるケースもあります。

充電器の設置工事は、分電盤から電線をひき、充電用コンセントを取り付けます。工事の前に、充電用に十分な電力が供給できる契約になっているかを電力会社に確認し、契約変更を検討します。工事を依頼する際には、充電コンセントの設置場所を決め、分電盤からの配線経路については、壁に穴をあける必要があるかを確認します。配線を埋設する必要がある場合は、土埋設かコンクリ―ト下かについても確認します。

設置場所と分電盤の距離を測り、コンセントのタイプを壁掛けタイプとスタンドタイプのどちらにするか決めます。EV車の充電にはより短時間で充電可能な200Vが適しているので、電力会社との契約が100Vの場合は、200Vに変更したほうが効果的です。アンペア契約も、充電時に使用する15Aへの見直しを検討します。

業務用設置初期費用は、充電料金の自由度で大きく変わる

業務用の充電器設置費用については、充電器設置事業者によってさまざまですが、本体価格と合わせた初期費用で表示しているケースが見受けられます。マンションなど他の施設への充電器設置を行う場合は、設置場所を決め、購入する充電器を選定し、充電管理システムや料金の徴収方法などの運用方法を決めます。さらに工事を行う施工事業者を選定します。

事業者によっては、EV充電設備の導入から運用までをパッケージで提供するサービスを用意しています。その場合も、充電器の選定や施設の電気設備に応じた工事内容を決めます。その後、施工事業者を手配し、充電管理システムやユーザ向けの課金アプリなどのサービスを検討します。利用者からの問い合わせにも対応するサービスもあります。

充電スタンドでビジネスを展開しようとしている場合は、そのビジネスモデルを検討し、必要なサービスを選定する必要があります。設置事業者によっては、充電スタンドの利用料金を自由に設定できる場合と、設置事業者が決めた料金でビジネスを展開するかによって、初期費用や月額費用が大きく変わってきます。

充電インフラの補助金に合わせて、工事費無料のキャンペーンも

政府は、EV車、PHV車などのエコカーの導入と、それらの普及に不可欠なインフラ整備を支援する補助金が令和3年度と令和4年度の当初予算に盛り込みました。それが「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」で、令和3年度補正予算額は375億円が計上されました。

その中で、充電インフラ整備事業の予算は65億円で、補助対象は、急速充電器や普通充電器(スタンド型)、普通充電器(コンセント型)などです。充電インフラを2030年までに15万基程度整備する目標を立てています。

国から民間団体などに補助が行われ、その後に購入者や設置事業者へ補助が行われる仕組みです。充電インフラの設置事業者は、政府の促進策に合わせて期間限定で設置工事費無料などのキャンペーンを展開しているケースもありました。今後も、さまざまな形でのEV導入におけるインセンティブが予想されますので、購入機会を検討する際にはキャンペーンの有無などをチェックすることが必要です。


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