生体認証とは?

生体認証は、顔や指紋などの身体的特徴や行動的特徴を使い、本人かどうかを確認する方式です。企業の入退室管理に取り入れる際は、カードを持ち歩く手間だけでなく、認証精度や現場での使いやすさ、認証できない場合の対応、生体情報の管理まで確認して選びます。
本記事では、生体認証の代表的な種類とメリット、導入時の注意点を解説します。入退室管理を見直す担当者に向けて、方式を比較する観点から、設備との連携、導入後に確かめたい効果まで整理します。
生体認証(バイオメトリクス認証) とは
生体認証は、あらかじめ登録した生体情報と、認証時に読み取った特徴を照合して本人を確認する仕組みです。顔・指紋・静脈・虹彩といった身体的特徴のほか、署名時の動作などの行動的特徴を利用する方法もあります。
ICカードによる認証が「登録されたカードを持っていること」を確かめるのに対し、生体認証は利用者自身の特徴を確認します。入退室管理では、カードの紛失や貸し借りへの対策として検討できますが、本人確認の結果と、どの場所への入室を許可するかは分けて設計する必要があります。
【参考】独立行政法人情報処理推進機構「基本情報技術者試験シラバス」/国立研究開発法人産業技術総合研究所「バイオメトリック照合製品プロテクションプロファイル」
代表的な4大生体認証方式
生体認証の方式によって、読み取る身体の特徴や、利用者が行う操作は異なります。ここでは代表的な4方式を取り上げ、入退室の現場で何を確認すべきかを整理します。
顔認証
顔認証は、顔から抽出した特徴を使って本人を確認する方式です。利用者が顔を読み取らせるため、入退室時にカードや鍵を取り出す操作を減らせます。
導入前には、設置場所で顔を読み取れるか、普段の服装や作業中の姿勢で使えるかを実機で確かめましょう。顔認証という名称だけで、マスク着用時や屋外での利用可否を判断せず、対象端末の仕様と試験結果を確認します。
指紋認証
指紋認証は、指の表面にある模様の特徴を照合する方式です。どの指をどの位置で読み取らせるかなど、端末に応じた操作を利用者へ案内します。
入退室管理では、対象者が普段の業務の状態で操作できるかを確認しましょう。例えば手袋を使う現場なら、認証のたびに外す運用が可能かを試し、必要な動作も含めて方式を比較します。
静脈認証
静脈認証は、指や手のひらなどの静脈のパターンを利用する方式です。読み取り対象となる部位が製品によって異なるため、手や指を提示する位置と動作を確認します。
なお、「手のひら認証」という呼び方だけで、静脈を使っているとは判断できません。掌紋などを利用する場合もあるため、名称ではなく、製品が実際に読み取る特徴を確かめて比較しましょう。
虹彩認証
虹彩認証は、目の虹彩にある模様の特徴を使う方式です。入退室で使う場合は、目を読み取り位置へ合わせる操作を、利用者が無理なく行えるかが確認点になります。
方式の名称だけで精度の優劣を決めず、設置高さや立ち位置を含めた利用条件で評価しましょう。対象者に実際に操作してもらい、認証に要する動作や再試行の状況を確認します。
【参考】独立行政法人情報処理推進機構「基本情報技術者試験シラバス」/個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」
生体認証の注意点
生体認証を選ぶときは、通常の認証で起こる誤り、なりすましへの備え、取得した情報の管理を分けて確認します。いずれも、実際に使う製品と運用条件に即して評価しましょう。
本人拒否と他人受入
本人であるのに認証されない誤りが「本人拒否」、別人を本人として受け入れる誤りが「他人受入」です。同じ照合方式で判定基準を厳しくすると、一般に他人受入は減る一方、本人拒否が増える関係があります。
そのため、認証しやすさだけを求めて設定を緩める判断は避けましょう。メーカーが示す精度の測定条件を確認し、自社の利用者や設置環境でも必要な安全性と使いやすさを満たすか検証します。
本人拒否率(FRR)と他人受入率(FAR)のトレードオフ関係
生体認証であっても、本人の特徴を模した偽造物を使う攻撃への対策は必要です。本人拒否や他人受入の評価と、偽造物を見分ける機能の評価は、同じものではありません。
選定時には、想定する攻撃に対してどのような対策があり、どの条件で検証されているかを提供元へ確認しましょう。「顔認証だから安全」と一括りにせず、導入候補の端末やシステムについて確認します。
【参考】国立研究開発法人産業技術総合研究所「バイオメトリック照合製品プロテクションプロファイル」
· 本人拒否率(FRR: False Rejection Rate):本人であるにもかかわらず、誤って非拒否判定(エラー)される確率。数値が高いと業務の妨げになり、待ち時間が増加します。
· 他人受入率(FAR: False Acceptance Rate):別人であるにもかかわらず、誤って本人として受け入れてしまう確率。数値が高いとセキュリティホールになります。
FRRとFARは表裏一体のトレードオフ関係にあります。判定閾値を厳しく設定するとFAR(侵入リスク)は下がりますが、FRR(利便性低下)が上がります。運用現場のセキュリティレベルに応じて、最適なバランスに調整可能な製品を選ぶことが不可欠です。
生体情報の取り扱い
特定の個人を識別できる顔画像や、法令で定める個人識別符号に該当する生体データは、個人情報として扱われます。入退室管理に使う企業は、取得・利用する目的を具体化し、取得方法などに応じて本人への通知・公表・明示を行う必要があります。
運用を決める際は、保存場所、アクセスできる担当者、保存期間、退職時などの削除手順を整理しましょう。個人データには必要かつ適切な安全管理措置を講じ、利用する必要がなくなった場合は遅滞なく消去するよう努めることが求められます。
【参考】個人情報保護委員会「『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』に関するQ&A」Q1-22/「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」
生体認証の選び方
生体認証の導入では、方式を選んだ後に現場へ当てはめるのではなく、利用者、設備、例外時の運用から候補を絞ります。次の3つの観点で確認し、試験導入の条件を具体化しましょう。
現場での使いやすさ
最初に、誰が、どの扉を、どのような状態で通るかを整理します。例えば、荷物を持って通る入口と、手袋を着けたまま移動する作業エリアでは、試すべき動作が異なります。
照明、立ち位置、端末への手の届きやすさなども、実際の利用者と設置場所で確認しましょう。飛天ジャパンのFaceTenは顔認証・手のひら認証に対応した入退室管理ソリューションですが、対応方式や設置環境は端末によって異なるため、現場条件に合う機種を選ぶ必要があります。
既存設備との連携
入退室管理には、認証端末だけでなく、ドアの解錠や利用者情報の管理も関わります。導入候補の端末と既存の電気錠、入退室管理システム、必要に応じた勤怠管理システムについて、接続可否と連携する情報を確認しましょう。
FaceTenは、本人確認からドア解錠、入退室履歴の管理に対応し、既存の勤怠・入退室管理システムとの連携も案内しています。ただし、自社の設備がそのまま使えるとは限らないため、機器の型番や管理システムの名称を整理して提供元へ確認します。
【参考】飛天ジャパン「FaceTen」
認証できない場合の対応
生体認証で本人確認できない場合に備え、再試行の案内、代替手段、管理者への連絡方法を決めておきましょう。利用できない人が出たときに、その場の判断だけで入室を許可する運用を避けるためです。
例えば、生体認証で確認できた場合も、別の方法で本人確認した場合も、所定の入室許可条件を適用する運用にします。代替の本人確認もできなければ入室を保留して管理者へ確認し、例外対応でも入室権限の確認を省略しないようにしましょう。
FaceTenではQR・ICカードによる認証も選択肢に含まれます。代替手段として組み合わせる場合の対応端末や設定、カードの発行・停止方法は、導入時に確認してください。
【参考】飛天ジャパン「FaceTen」
生体認証のメリットと導入効果
生体認証の導入効果は、認証できたかどうかだけでなく、利用者の操作と管理者の業務の両面で確かめます。ここでは、試験導入で比較する項目を示します。
利用者の認証操作
カードや鍵に頼らず本人確認できる運用では、持ち歩いたり取り出したりする手間を減らせます。ただし、実際の使いやすさは、読み取りのための動作や再試行も含めて評価する必要があります。
例えば、同じ入口・時間帯で、認証から通過までの所要時間、再試行が必要だった回数、管理者の補助が必要だった場面を記録しましょう。平均的な通過だけでなく、混雑時にも利用者が無理なく使えるかを確かめます。
管理者の運用業務
生体認証によってカード・鍵の管理を減らせる一方、利用者の登録、権限変更、退職者への対応などの業務は残ります。カードの紛失対応が減っても、認証できない人への対応が増えていれば、その負担も含めて評価します。
試験導入では、登録・変更・削除にかかる作業と、例外対応の件数を記録すると比較しやすくなります。入退室履歴についても、必要な記録を探せるか、確認担当者が日常業務で扱えるかまで試しましょう。
生体認証の導入判断まとめ
生体認証は、利用者自身の特徴を使って本人を確認する方式です。入退室管理では、顔・指紋・静脈・虹彩などの違いを理解したうえで、現場での操作、認証の誤り、なりすまし対策、生体情報の管理を確認します。
導入判断は、既存設備との接続や認証できない場合の対応も含めて行いましょう。試験導入で利用者の操作と管理者の業務を確かめることで、自社で続けられる運用かを判断できます。
顔・指紋・静脈・虹彩などを使う方式があります。署名時の動作など行動的特徴を利用する方法もありますが、入退室管理では対象者の操作や設置環境に合う方式を選びます。
安全性は、採用する製品の機能や運用条件によって異なります。他人受入への対策、偽造物への対策、生体情報の管理を確認し、方式名だけで安全性を判断しないようにしましょう。
再試行の案内や、本人確認を伴う代替手段、管理者への連絡方法をあらかじめ決めておきます。代替手段を使う場合も、本人確認と入室許可条件の確認を省略しない運用にします。
生体認証の導入相談窓口
生体認証の導入成功には、製品仕様の確認だけでなく「現場の設置環境・通行動線」と「運用ルールの策定」を一体で進めることが重要です。飛天ジャパンでは、現地調査から実機貸出(PoC)、施工・システム連携までワンストップでご支援いたします。自社オフィスや工場への最適な認証構成や見積もりについては、お気軽にお問い合わせください。
導入をご検討のお客さま
-

体験版申し込み
-

資料請求
-

お問い合わせ



