工場の入退室管理

工場の入退室管理システム導入
工場の入退室管理は、認証端末を選ぶ前に「誰が、どのエリアへ入れるか」を決めることから始めます。そのうえで、作業時の装備、設置環境、通行量、既存の扉を整理し、実機での確認と認証できない場合の運用まで含めて導入を判断しましょう。
本記事では、工場の施設管理・総務・情報システム担当者に向けて、入退室管理の選び方と導入手順を説明します。仕様書で確認する事項と現場で検証する事項を分け、導入後の権限管理や効果の確かめ方まで整理します。
工場の入退室管理が必要な理由
入退室管理で整理するのは、入室を許可する対象者、立ち入りを認める範囲、出入りの記録です。工場全体への入場を認めることと、個々の部屋への入室を認めることを分けて考えましょう。製造区画、製品保管室、事務室など、それぞれの用途に応じて許可する対象を決めます。
たとえば、サーバーを設置するエリアについて、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、入室できる人を制限し、入退室の記録を取得・保管する対策を示しています。工場内でも、守る設備や情報を明確にし、その場所へ入る業務上の必要がある人を整理することが、管理範囲を決める出発点になります。
【参考】独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版」
工場の入退室管理システムの選定ポイント
候補のシステムは、認証方式、設置条件、利用規模、既存設備との接続という観点で比較します。以下の項目を自社の条件と照合し、仕様が分かっていることと、現地調査や実機で確かめることを分けて整理しましょう。
現場の設置環境(温度・粉塵・防水・照明)
認証方式を比較するときは、利用者が入室する際の動作を具体化します。顔や手のひらを使う場合は端末に向かって行う操作を、ICカードを使う場合はカードを取り出して提示する操作を、実際の作業動線に当てはめて確認しましょう。
作業服、保護具、荷物の持ち方を含めて確認条件を決めると、通常の業務に組み込めるかを判断できます。方式名だけで使いやすさを決めず、利用する人と管理する人の両方で操作を試し、本人確認に必要な手順を守れる方式を選びましょう。
設置場所に合う端末
端末は、取り付ける場所の条件に合うものを選びます。屋内か屋外かに加え、使用場所の温度、水のかかり方、粉じん、照明の状態を調べ、メーカーが示す設置条件や動作条件と照合しましょう。防塵・防水の仕様と、実際の設置場所の適合性は分けて確認します。
FaceTenの公式仕様で案内されている設置環境は、次のとおりです。
| 機種 | 設置環境 |
|---|---|
| G5 | 屋内・屋外 |
| SpeedPalm-V5L | 屋内 |
| Horus E2 | 屋内 |
同じソリューションの端末でも設置環境は共通ではないため、設置場所を先に整理してから機種を選ぶことが必要です。
【参考】飛天ジャパン「FaceTen」
利用規模への対応
利用規模は、登録する人数と、一定の時間に出入りする人数を分けて整理しましょう。登録人数には従業員だけでなく、登録を予定する委託先や保守担当者も含めます。複数の認証方式を使う場合は、方式ごとの登録上限を仕様書で確かめます。
交代勤務で通行が集中する工場では、通常時だけでなく交代時間帯の通行も検証対象にしてください。認証の操作から扉を通り終えるまでを観察し、待ち列や再操作の発生を記録します。登録可能人数だけを根拠に、混雑せず通行できると判断しないようにしましょう。
既存設備との接続条件
既存の扉を使う場合は、扉の種類、電気錠や制御盤の型番、電源、配線経路を確認します。導入先の写真や図面、設備の仕様書を準備し、認証端末から解錠までの接続構成を施工担当者に確認してもらいましょう。設備の組み合わせを特定したうえで、必要な工事と作業範囲を決めます。
勤怠管理など既存システムとの連携を検討する場合も、システム名と必要なデータ項目を具体化してください。入退室の記録を確認したいのか、別のシステムへ渡したいのかを区別し、接続条件と担当範囲を確認します。連携を希望するだけで、実現できる前提の運用を決めないことが大切です。
工場の入退室管理の導入手順
導入は、対象の整理、運用ルールの確定、実機検証、段階的な展開の順に進めると整理しやすくなります。施設管理・総務・情報システム部門に加え、現場の利用者と施工担当者も交えて確認し、設備と日々の運用の両方を決めていきましょう。
管理対象の整理
まず平面図に管理したい扉を記し、各エリアで守る設備・情報と、出入りする人を整理します。対象者は従業員、委託先、保守業者などに分け、利用する区画と時間帯を記録しましょう。通行を許可する判断者も、この段階で決めます。
受付から作業場所までの経路や、勤務時間外の保守作業も図面上で確認してください。管理対象の扉だけを選ぶのではなく、対象者が必要な場所へ移動する経路まで整理することで、どこで確認し、どの範囲を許可するかを具体化できます。
運用ルールの確定
顔画像や顔特徴データなどを登録する前に、利用目的と取扱責任者を決めます。個人情報保護委員会は、従業員の個人情報についても利用目的をできる限り特定する必要があるとしています。入退室管理に使う目的、取り扱う情報、運用上の窓口を整理して、登録対象者へ説明しましょう。
【参考】個人情報保護委員会「顧客の個人情報だけでなく、従業員を雇用するに当たり取り扱う当該従業員の個人情報についても、利用目的を特定する必要がありますか。」
また、顔特徴データ等が個人データに該当する場合は、安全管理措置が必要です。利用できる担当者の限定、責任者の設定、取扱規程の整備など、公的指針に沿って管理方法を決めます。保存期間や削除手順も含め、登録から利用終了までの取扱いを明確にしてください。
【参考】個人情報保護委員会「カメラを設置してカメラ画像・顔特徴データ等を取り扱う場合には、安全管理措置として特にどのような点に注意すればよいですか。」
業務面では、認証できない場合の連絡先と本人確認の方法、臨時の来訪者への対応を定めます。停電や設備故障時の入退室方法、緊急時の退出方法は、設置する設備の仕様に基づいて施設管理・施工担当者と確認してください。通常時だけでなく、例外時にも誰が判断するかを決めておきましょう。
実機での運用検証
実機検証では、普段の作業服や保護具を着用し、導入予定の場所で操作を試します。明るさや立ち位置、荷物を持った状態など、実際の利用条件に合わせて確認してください。見学用のデモだけで判断せず、現場で必要な動作を検証に含めます。
結果は「使いやすかった」という感想だけでなく、次の項目で記録しましょう。
再操作の回数
通行に要した時間
認証できなかったときの対応
管理者側でも、利用者の登録・変更・削除と履歴の検索を試します。利用者と管理者の双方が必要な作業を行えたかを確認し、未解決の項目は展開前に見直します。
段階的な展開
検証結果を踏まえ、最初に導入する区画と、その後に広げる条件を決めます。たとえば、現場の操作手順が定まり、認証できない場合の連絡・対応も実施できたことを、次の区画へ進む判断材料にします。これは導入の進め方の例であり、設備構成や操業計画に合わせて調整してください。
切り替え前には、利用者への説明、登録状況、管理者の担当時間、施工日程を確認します。限定区画で見つかった課題を反映してから対象を広げ、区画ごとに異なる運用が必要な場合は、その違いも手順書に残しましょう。
工場の入退室管理の運用改善
運用開始後は、登録された権限が現在の業務に合っているかを確認するとともに、導入前に定めた目的に沿って結果を評価します。機器の稼働確認だけで終えず、人員の変化と実際の利用状況を管理に反映しましょう。
権限変更の継続管理
異動、退職、委託契約の終了があったときに、誰が管理担当者へ連絡し、いつ権限を変更するかを決めます。申請を受け付けた記録と変更が完了した記録を分けて残し、連絡だけで処理が終わった扱いにしないようにしてください。
あわせて、登録者と各部門の在籍・契約状況を照合する機会を設けましょう。長期の委託先や複数区画を利用する担当者も対象に含め、現在も必要な権限かを区画の責任者が確認します。確認頻度と担当は、自社の人員変更の状況に合わせて定めてください。
導入効果の検証
効果の確認には、導入目的に対応する指標を選びます。たとえば、カード紛失への対応件数、通行時の待ち時間、認証できない場合の対応件数、履歴を確認する作業時間などです。これらは評価項目の例であり、製品を導入した場合の改善幅を示すものではありません。
比較する際は、集計期間、利用人数、勤務形態をそろえて記録しましょう。新しい登録作業や例外対応の負担も含めて確認し、導入前後で何が変わったかを整理します。現場で得た結果を基に、端末の配置、利用手順、管理の担当範囲を見直してください。
工場の入退室管理のまとめ
工場の入退室管理は、管理するエリアと対象者を定め、認証方式・設置環境・利用規模・既存設備の条件を照合して選びます。製品の機能だけで判断せず、普段の装備や動線で操作を確かめ、例外時の対応とデータの取扱いまで決めましょう。
導入後は、異動や契約終了に合わせた権限変更を続け、待ち時間や管理作業を実測して評価します。まずは対象の扉と利用者を整理し、仕様書で確認する事項と実機で検証する事項を分けることから始めてください。
着用した状態で使うことを前提にする場合は、その条件をメーカーへ伝え、対象機種の仕様と実機で確認してください。通常業務で使う装備をそろえ、必要な操作を現場で行えるかを検証します。
設置の判断には、対象の扉・電気錠・配線などの確認が必要です。写真、図面、型番を準備して施工担当者に現地を確認してもらい、具体的な接続構成と必要な工事を確定してください。
事前に定めた連絡先へ連絡し、担当者による本人確認など、決められた手順で対応します。通常の認証ができない場合の判断者と対応方法を運用開始前に定め、利用者へ周知してください。
工場の入退室管理を支えるFaceTen
飛天ジャパンのFaceTenは、顔・手のひら認証による本人確認、ドア解錠、入退室履歴の管理を提供するソリューションです。公式ページでは工場・倉庫・バックヤードも対象に挙げられ、QR・ICカード認証や、利用者・グループ管理、ログ検索の機能が案内されています。
対応する認証方式は端末ごとに異なります。公式仕様ではG5とHorus E2が顔認証、SpeedPalm-V5Lが手のひら認証に対応しています。工場での利用を検討する際は、対象の扉、設置場所、利用人数、普段の装備を整理し、必要な条件に合う構成を相談してください。
【参考】飛天ジャパン「FaceTen」
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