低コストで導入可能な指紋認証に注目

指紋認証は、指紋を利用して本人確認をする方法です。指紋の模様には多くの特徴があって、その特徴を示す場所が、指紋の中心からどれくらい離れているかをあらかじめ記録しておき、認証する際にセンサーをあてて、本人の指紋かどうかを照合する仕組みです。テレワークの増加などを背景にハッキングなどの不正アクセスが社会問題化している中で、生態認証の中でも低コストで導入が可能な指紋認証への注目が高まっています。

コロナ禍のセキュリティ対策としても注目

指紋認証が普及し始めたきっかけは、スマートフォンの本人確認のツールとして搭載されたことです。指紋認証の特徴は、他の認証方法に比べて、データ容量が小さく、小型化が容易です。急速な普及によって、コストダウンも進んでおり、さまざまなシーンでの導入が加速しています。

指紋認証は、パソコンやモバイル機器への搭載の普及が最も進んでいる生体認証の一つです。とくに、スマホでの本人認証では、顔認証とともに、指紋認証は普及が進んでいるので、使い慣れている人も増えています。職場などのセキュリティ対策としても、パソコンなどの端末を使って、ネットワークへログインするときの本人認証に使われるシーンが多くなっています。

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、日本でも自宅勤務をするオフィスワーカーが急激に増えています。その時に、しっかりとしたセキュリティを設けておかないと、ハッキングされるリスクが高まります。

最も多いハッキング被害のパターンの一つが、従業員個人のログインIDやパスワードを盗まれたり、第三者による「なりすまし」などの方法で、ネットワークに侵入され、顧客情報など機密性の高い情報が漏洩してしまうケースです。

コロナ禍の対策として、密になりやすいオフィスを避け、自宅やその他の場所でネットワークにアクセスする機会が増えると、それだけ不正アクセスの被害にあうリスクも高くなります。指紋認証などのセキュリティの高い方法を取り入れることで、こうしたリスクを下げることが可能になります。

このほかにも、企業などが入退出管理のシステムに導入し、従業員の勤怠管理に利用したり、顧客個人を識別するために顧客管理システムとして利用するなど、指紋認証によるセキュリティ強化の活用例は増えています。

指紋は経年変化や、忘れてしまうリスクもない

生体認証は、パスワードに代わる新たな認証方法で、指紋や顔、静脈、瞳の虹彩などの身体的な特徴から、本人を判別します。なかでも、私たちの暮らしにもっとも身近な生体認証が指紋認証です。

およそ40~50年前から、国内でも警察などの捜査関係者の間で、コンピュータによる指紋鑑定が行われるようになり、その後も指紋認証の研究が進められました。最近では、テクノロジーが進化し、スマートフォンやノートパソコンの認証方法としても普及しています。

指紋の形状は、経年によってもほとんど変わることがなく、一度登録した指紋データで認証が可能です。認証する時にセンサーで読み取った指紋と登録画像を比較して、一致するかどうかを判断します。また、パスワードや暗証番号のように、忘れてしまう心配もありません。

導入企業にコスト削減などの効果も

つまり、指紋認証などの生体認証は、利用者本人の身体的な特徴を使っているため、「なりすまし」による不正を防ぐ効果が高いです。一方で、指紋認証システムを運用する側の企業にとっても、本人確認が短時間にスムーズに行うことができ、コストの削減にも効果的です。

しかし、指紋認証を利用する際には、注意しなければならない点もあります。指が乾燥していたり、油脂を含んでいたり、ケガをしていたり、その時の指の状態によって、認証精度が下がってしまう可能性もあります。

より安定的に、高いレベルのセキュリティを確保するには、セキュリティ各社が展開している指紋認証システムの特徴をよく比較して、自社のニーズに合ったものを導入するように心がける必要があります。

■指紋認証デバイスBioPassFIDO2


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