顔認証と連携したクラウド勤怠管理システム導入企業が増加

労働基準法で定められた法定労働時間の上限規定が適正に守られているかを管理する仕組みを「勤怠管理」と言います。働き方の多様化が進むことで、勤怠管理の重要性はますます高まっています。顔認証など最新テクノロジーを活用したクラウドの勤怠管理システムの導入により、従業員の健康管理の徹底や生産性の向上を図る企業が増えています。

従業員の健康維持や生産性向上も期待

勤怠管理とは、従業員の労務管理のため、出勤・退勤、休暇の申請や休暇の取得状況などを管理することです。従来はタイムカードなどを使った紙ベースの勤怠管理が行われていましたが、なりすましや集計ミスが起こりやすく、管理の手間もかかりました。

こうしたことから、従業員数が多い大企業を中心に、勤怠管理システムを導入する動きが進みました。従業員の労働時間を適正に把握して管理することにより、働き方改革で要求されている残業時間の削減による従業員の健康管理や生産性向上の実現を目指す狙いもあります。

そして勤怠管理の合理化を進めるためのツールとして、デジタル技術を活用したITシステムが進化しています。ICカードやPCログインなどによる遠隔地からのアクセスのほか、最近はAI(人工知能)の発展により、生体認証などの最新技術を使った勤怠管理システムが注目を集めています。

働き方改革の推進で勤怠管理の役割も高まる

働き方改革に加え、新型コロナウイルスの感染拡大により、働き方の多様化と柔軟性が高まっています。それに合わせて勤怠管理システムは、リモートワークやフレックスタイム精度などにも対応する必要があり、それにプラスして新型コロナウイルスの感染拡大に対応した感染防止対策との連携も求められています。

これらのニーズに対応する多機能な勤怠管理システムの中で、顔認証による勤怠管理システムが注目されています。顔認証の勤怠管理は、従業員の顔写真を登録し、従業員のIDと紐付けます。

顔認証は、顔の目、鼻、口などの特徴点の位置、顔領域の位置や大きさをもとに写真データと本人の照合を行う仕組みです。ディープラーニングを活用したAIを搭載し、ビッグデータから取得した情報をもとに、画像や映像から個人の顔を検出し、特定します。

コロナ禍でマスク着用の認証や検温のニーズも

顔認証の導入は、勤怠管理業務の効率化に効果的です。ICカードを使った勤怠管理システムの場合、従業員の異動、入社や退職が重なる時期にICカードを配布する必要がありますが、顔認証を導入することで回収する手間を省くことができます。また、紛失やなりすましのリスクがあるICカードに比べ、顔認証はこうしたリスクを低減することが可能です。

出勤・退勤時間、休暇の取得などのデータが正確に入力されることになり、管理職のチェックや総務担当部署の集計業務などが大幅に軽減されます。その上、従業員の勤務状況、休暇の取得状況などが把握しやすくなることで、過度な残業の抑制や十分な休養の確保など、従業員の健康管理や法令遵守に対する効果も期待できます。

またコロナ禍では、非接触でウォークスルー可能な入館システムへのニーズが高まっています。その意味でも顔認証と連携した勤怠管理システムは便利です。感染防止のためにマスクをしている従業員の顔も認証できる機能を備え、マスクをしていない従業員にアラートを発する機能も求められています。さらに、従業員の体温を測定し、異常体温の場合にもアラートを発する機種もあります。

非接触・ウォークスルー認証へのニーズは、オフィスだけでなく、ヘルメットをかぶった作業現場や、マスクや帽子などの着用を求められる工場など、現場での勤怠管理でもニーズが高まっています。マスクを着用している状態や、ヘルメットや帽子をかぶった状態など特殊な状況でも、正確に顔認証できる高機能なシステムが人気です。また、正確さはもちろん、入退室時の混雑を避けるため、検知・認証に要する速さも重要なポイントです。

勤怠管理システム、オンプレミスかクラウドか

自社内にシステムを保有しサーバー運用する「オンプレミス」、システムを自社で保有せずに運用する「クラウド」。オンプレミスのメリット・デメリットは以下の通りです。

■メリット
・システムを柔軟にカスタマイズしやすい
・セキュリティの安全性が高い

■デメリット
・初期費用が高い
・導入後の管理・運用が必要

一方、クラウドのメリット・デメリットは以下の通りです。

■メリット
・初期費用を安く抑えることができる
・導入が簡単でスムーズに利用開始できる
・拡張性が高い

■デメリット
・自由なカスタマイズができない
・長期的なコストが高くなる可能性がある

オンプレミスとクラウドの違いは、コストやセキュリティ、導入期間などの様々な場面に表れています。どちらもメリットやデメリットが異なるため、自社に合ったシステムを導入することが大切ですが、働き方の多様化と柔軟性が高まっている最近は、クラウドの勤怠管理システムが人気です。


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