感染症の拡大防止対策が求められる中、非接触の顔認証システムを活用しようという動きが広がっています。商業ビルや集合住宅、工場、学校、病院などさまざまなシチュエーションで、顔認証システムを軸に色々な機能を連携させることで、セキュリティの強化と使い勝手の良さを両立するシステムを提供することができます。アプリケーションやネットワーク経由による顔認証システムの活用や連携は、SDK(ソフトウェア開発キット)によって実現しています。

SDKで外部システムとの連携を柔軟に

SDKとは、Software Development Kit=ソフトウェア開発キットで、特定のソフトウェアを開発する際に必要なツールセットです。少ない労力でアプリケーションを開発できるように、プログラムやインターフェースの仕様などをパッケージ化したものになります。

さまざまなサービスを動かすアプリやソフトウェアを開発するとき、このSDKを使うことによって、専門的な技術や詳しい仕組みまで理解していなくても、アプリケーションに新機能を実装することができます。

ソフトウェアベンダーがさまざまなSDKを提供しているので、サードパーティー製を含む外部システムと繋ぐときも、簡単にシステム連携できるようになります。

非接触の顔認証へのニーズが高まる

顔認証システムは、顔の写真データ等と照合することで、本人確認をする生体認証技術の一つです。生体認証は、ICカードなどのように忘れたり紛失することがないため、セキュリティ強化のための活用が増えています。生体認証にはこのほか、指紋認証、手のひら認証や手の静脈認証、眼球の虹彩認証などがあります。感染症の拡大により、非接触・非対面の認証技術が求められており、顔認証を導入するケースが増えています。

例えば、感染症の拡大防止対策として、体温とマスクの有無を検出する顔認証端末も登場しました。非接触で、マスクを着用しているかどうか、発熱がないかどうかを検知し、アラートを発するシステムなどが活用されています。

こうしたシステムの特徴は、非接触で認証スピードも速いこと。AI(人工知能)を活用し、なりすましの防止や体温の虚偽申告を防止するなど、セキュリティ強化のみならず感染症の拡大防止にも効果的です。

さらに、顔認証端末の特徴として、拡張性の高さがあります。オフィスやマンションの入退出ゲート、自動ドアや宅配ボックス、エレベーターなどに設置した場合、電気錠との連携や出勤する社員の社員番号、訪問者の顧客番号と紐づけることができるほか、従業員の勤怠システムと連携させることもできます。

顔認証システムとの連携へ複数の選択肢

顔認証システムの拡張で活用できる方法の一つが、AD(Active Directory)連携です。Microsoft社のWindows 2000 Server から実装されている機能の一つで、システム管理者が組織のリソースを管理するのに有用なサービスです。会社や組織に属しているヒト、PCやサーバーなどのモノ、ファイルやフォルダなどの情報・データといったネットワーク上に存在するリソースを階層的に管理します。ユーザーを認識し、認証とアクセス制御を行う仕組みを提供します。

専用ソフトによるAPI連携も拡張性を提供します。ソフトウェアコンポーネントが互いにやりとりするのに使用するインターフェースの仕様です。システムやサービスを構築する際、APIを利用すればすべての機能を最初から開発する手間を省けます。既存のサービスから公開されているAPIを利用することで簡単にサービスと連携ができ、サービスを拡張することができます。

そして、SDKは、APIと同じように複数の異なるアプリケーションを連携させるときに役立つもので、どちらもアプリケーションに新しい機能を追加するときに、開発者の作業を軽減することができます。APIが、特定の目的のために活用する方法であるのに対し、SDKは、機能追加や連携に必要なほとんどすべてのツールをひとまとめにしたものです。特定のプラットフォームに限らず、外部との連携をするときも、開発の手間を軽減します。

SDK連携はオンプレ、クラウドの双方に対応

このように、SDKを活用した連携は、プラットフォームの種類を問わずに活用することも可能になります。システムを構築するプラットフォームには、インフラを自社内で管理運用する「オンプレミス(オンプレ)」と、「クラウド」をレンタルする方法がありますが、SDKを活用すれば、どちらにも対応することが可能です。

企業によっては、使用するリソースをすべて自社で用意するため、コスト高になりがちなオンプレミスよりも、ハードウェアを用意する必要もなく、利用した分だけ料金を支払えばよいクラウドを選ぶ傾向が増えています。その一方で、すでにオンプレを整備している企業にとっては、すぐにクラウドに乗り換えるには抵抗もあります。

SDKは、オンプレを採用している企業も、クラウドを採用している企業も同じように、顔認証システムを拡張することが可能です。


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