POSシステム&キャッシュレス決済で省人化

ゲームセンターなどのアミューズメント施設が、キャッシュレス決済機能の付いた自動精算機やPOSシステムを導入することで、省力化や省人化を進めています。ゲーム機に100円玉を投入してゲームを楽しむ従来型のゲームセンターは、電気料金の高騰などによって経営環境が悪化しています。ゲーム業界は、QRコード決済や電子マネーを使えるような新しいスタイルの遊び方へと大きく変革しています。

スマホゲームなどの普及で、ゲームセンターはクレーンゲームが主流に

家庭用ゲーム機器やゲームパソコン、スマートフォンで楽しめるゲームの普及などによって、ゲームセンターでお金を払ってゲームを楽しむユーザーが減っています。ゲームセンターの店舗数は最近10年間で8000店ほど減少しており、直近5年間では3割減少したそうです。またコロナ禍によって、家でオンラインゲームを楽しむ層が増え、ゲームセンターの客数の減少に拍車がかかりました。

こうした事態に対応するため、ゲームセンターはビデオゲーム機型のアーケードゲームを中心とした店舗レイアウトから、クレーンゲームやカプセルトイなどのアミューズメント機器を中心とした店舗レイアウトへと主力サービスを切り替えています。最近ではクレーンゲームに特化したアミューズメント施設が登場し、若者たちの人気を集めています。

それでも、インフレによる電力価格の高騰を理由とした電気料金の引き上げやクレーンゲームなどの景品の仕入れ費の上昇、硬貨の両替手数料の負担、人件費増などによって、店舗運営費が上がり続けています。帝国データバンクの試算によると、ゲームセンターの運営会社の本業のもうけを示す営業利益は、100円売上(1プレイ)あたりの利益が平均6円にまで圧迫されていると言います。

QRコード決済や電子マネーなどのキャッシュレス決済導入を進める動き加速

経営環境の変化に対応した動きとして、ゲーム業界で取り組みが進んでいるのは、自動化、デジタル化による省人化です。その代表的な方法が、100円玉でプレイ料金の支払いをする従来的な方法から、QRコード決済や電子マネーなどのキャッシュレス決済を可能とするシステムへの切り替えです。

100円玉でプレイ料金を支払う方法は、どうしても施設内に両替の機能を置くことが必要になります。スタッフが両替をする場合や、自動両替機を設置する方法などがあり、どちらも人手による管理が必要になります。スタッフによる両替は、現金を扱うことによる管理や心的ストレスが発生するほか、自動両替機も、両替するコインを補充したり、機械の不具合などにも対応しなければなりません。最近は金融機関での両替に伴うコストも無視できず、キャッシュレス決済の導入を後押ししています。

電気料金や景品のコスト増に対応するには、価格転嫁をする選択肢がありますが、ゲームセンターなどのアミューズメント施設はプレイ料金を100円単位で上げることになり、一気に2~3倍の料金を請求しなければならず、ハードルが高くなります。もしくは10円単位で値上げするには、両替やシステム変更という別のコストが発生してしまいます。プレイ料金をキャッシュレスで支払うようにすれば、小刻みの値上げに対して、プレーヤも店舗側もストレスが少なく済むというメリットもあります。

キャッシュレス決済の後付けを利用し、初期導入のコスト削減

最近はキャッシュレス決済が可能な自動精算機の導入や、既にあるゲーム機に後付けする形で電子マネーと現金決済の併用を取り入れる施設が増加しています。既存のゲーム機をすべて切り替えるにはコストがかかるため、新規導入の場合はキャッシュレス機能対応機を選び、既存期は後付けにするのが賢明です。

多くの業界で人手不足が深刻化している中で、これらのキャッシュレス決済を導入することで、今までフロントで行ってきた業務の一部を自動化することがでるメリットは大きいと言えます。スタッフは別の接客サービスなどに時間を費やすことができ、サービスの充実につながります。

まだ主に現金を利用している利用客には、大きなメリットはありませんが、日常生活で電子マネーやQRコード決済に慣れている利用客にとっては、現金を扱わなくて済むキャッシュレス決済の導入は、利便性を大きく高めることになります。若い世代を中心にキャッシュレス決済が増えていることを考えれば、ゲームセンターなどのアミューズメント施設でのキャッシュレス決済の導入は収益力アップに貢献することが期待できます。

売上やプライズメーターが取得可能なPOSシステム

そのほかにも、省人化を実現するテクノロジーが注目されています。機器の状態などを遠隔で管理したり、クレーンゲームの景品管理する組み込み型のPOSシステムの中には、導入することでキャッシュレス決済にも対応可能なPOSシステムもあり、フロアのスタッフを最小限にしながら、利用客にストレスを感じさせずにゲームを楽しむ環境を提供することが可能です。

このほか、敷地や館内が広い複合施設では、スーパー銭湯やプールなどで普及しているリストバンドとゲームや飲食サービスの支払いを連動させることで、最後にまとめて精算する仕組みを導入することも可能です。

コインランドリーや駐車場など、無人・省人化によって、経営状況を好転させているサービスが増えており、その多くがキャッシュレス決済やIoTを利用したシステムを導入しています。ゲーム業界でも、人手をかけずに、利用客に気軽に楽しんでもらう環境の整備は重要になりそうです。


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