無人店舗ソリューション

デジタル技術の活用により、店舗の無人化を進める「無人店舗」が注目を集めています。労働人口の減少が進む日本では、人手が掛かる仕事を減らすことが店舗経営の重要な課題になっており、店舗オペレーションの無人化・省人化が収益力を高める鍵です。ネットカフェやエステサロン、インドアゴルフ、スポーツジム等の会員制サービスの他、宿泊施設や小売店等、不特定多数のお客様を相手にする店舗で、オペレーションの無人化が進められています。それぞれの業種で、どのようなソリューションの導入が必要なのかを見極めることが重要です。

入退室管理システムやセルフレジ、店舗解析ツール等を活用

会員制サービス等の無人店舗で必要とされる主な機能は、オンラインによる会員登録や予約、スマートフォンや顔・指紋等の生体を使った受付(認証)、開錠、キャッシュレスをメインとする決済システム、スマホのアプリを使った来店促進、遠隔からの機器の稼働監視等があります。

これらの機能を実現するためには、物理的な鍵を使うことなく、予め登録した会員等の限られた人のみ開錠する「入退室管理システム」、会計を無人で行うことができる「セルフレジ」、来店者の属性を把握しマーケティングに活用する「店舗解析ツール」等のテクノロジーを活用します。

これらのテクノロジー全てを取り揃えると初期投資が高額になってしまうので、業種や業態によって、必要なものとそうでないものを判断することが重要です。例えばエステサロン、インドアゴルフ、スポーツジム等の月額制で料金を徴収する会員制サービスは、キャッシュレス決済の機能は必要ではありません。

セルフサービスによって店舗の無人化を進める時の注意事項

フィットネスジムを無人店舗で運営する場合、入口の入館システムで顔認証等による本人認証を行い、鍵を開錠して、ジム内に入館します。認証が正しく行われたかどうかについては、リアルタイムの画像や過去の画像で確認することができます。

ジム内に設置されたトレーニングマシン等を使ってエクササイズを行いますが、会員登録は事前に済ませ、月々の会費はクレジットカード等で支払うので、セルフレジ等の機器を導入する必要がなく、トレーニング終了後は退出管理システムによって会員の退出も記録することが可能です。

無人のフィットネスジムのように、会員のセルフサービスによって、多くのサービスが成り立つケースは無人店舗化が進めやすいと言えます。ただ、マシンの使い方や注意事項等は事前に説明して、ユーザーの理解を深めておくことが重要です。また、入退出システムの不具合等、ユーザーがトラブルに巻き込まれた時のソリューションも整えておくことが重要です。

不特定多数を対象にしたビジネスでは初期費用が高額に

一方、不特定多数の来店客を対象にしている小売店では、無人店舗化するための機能の種類は限定的です。会員登録は無用で、小売店では予約や受付(認証)の機能も必要ありません。ただし、会員向けにキャッシュレス決済を行うウォークスルー形式の小売店舗を除き、その都度の会計が必要で、セルフレジを設置する必要があります。

ウォークスルー形式の小売店舗の多くは、店内に設置したカメラや重量センサーを利用し、客の動きをカメラで認識し、AIによって購入の有無を判断するので、初期投資は高額になってしまいます。

無人店舗といえども小売店等の場合は、全く人を配置していない店舗は稀です。商品の補充のために少数の店員をバックヤードに待機させていたり、トラブルが発生した場合、近隣の中核店舗から駆けつける仕組み等を整えています。さらに食品を扱うケースでは、自動販売機でも扱える商品であることが多く、店舗で調理するような惣菜等を無人店で売るのは難しいのが現状です。

ビジネスホテル等の宿泊施設では、チェックイン/チェックアウト、会計手続きの自動化が進んでいます。自動チェックインシステムやセルフ式のキャッシュレス決済の装置を設置している他、事前に会員登録しておけばスマートフォンのアプリで時間をかけずにチェックインできるサービスも登場しています。

これらのソリューションの導入によって、フロントの受付業務の大幅な簡略化が可能になっていますが、部屋の清掃やシーツ、タオル等の消耗品の交換等については人手に頼らざるを得ないのが現状です。

施設や店舗の省人化や無人化は、施設サービスや店舗運営に必要な機能を棚卸して、テクノロジーやセルフサービスに置き換えることができるかどうかをよく見極めることが求められます。さらに、自動化機械の運用がトラブルなく稼働しているのかどうかを監視し、お客さまがストレスを感じることなく、無人化サービスを利用できているかどうかを管理する作業も必要になります。



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